M&AブローカーとM&Aコンサルタントの違い
ブローカーという言葉について考えた
突然ですが皆さんは「ブローカー」という言葉を聞いて、どのような印象を抱きますか?どの国の、どの業界に関与しているブローカーかなのかで感じ方は大きく変わりますよね。しかし、多くの方はネガティブな印象を抱かれのではないでしょうか。
ここ数年、M&A仲介支援を手掛ける法人や個人事業主が急増したことで、M&A仲介業界にも「ブローカー」と呼ばれる存在が登場してきました。このM&Aブローカーですが、M&Aコンサルタントとは全く別者です。今回、M&Aのブローカーに関する注意喚起をまとめるにあたり、改めて「ブローカー」と、それに関連する言葉の定義から調べてみました。一部、筆者個人の見解も含まれますが、M&AブローカーとM&Aコンサルタントの違いを理解する上で参考になれば幸いです。

岩波国語辞典の定義によると、ブローカーはいわゆるエンドユーザーとの接点を持たない「買取再販」を生業とする仲買人を指すようです。しかし、実際に世の中で普及しているブローカーの意味は、違法な取引に関与する存在としての印象が強いと感じています(言うまでもないが買取再販は違法ではない)。実際に、ブローカーをキーワードとし日経新聞の記事を検索すると、“転売”や“許認可が必要な取引を無免許で行う”主旨の記事が複数ヒットします。その他メディアでも、事件性の高い報道や課題提起の文脈で「ブローカー」が使用される傾向にあることから、日本では健全ではない取引を実行する存在を表す単語として「ブローカー」が使われているようです。前述したように近年M&A仲介の業界にも「M&Aブローカー」と言われる健全ではない取引を行う存在が出てきました。M&Aは、多くの経営者にとって人生に一度あるかないかの決断です。加えて機密性が高く、第三者に相談したくても難しい。仲介支援を依頼するのであれば、そうした不安や疑問に寄り添い、時にはNGを伝えてくれるより良いパートナーのような信頼できる人を選んでください。
M&Aブローカーの特徴は?見抜けるの?
健全さというものは個人の倫理観に左右されるため、一概に「こんな人はブローカーです」とは断言できません。しかしながら、いくつかの特徴や傾向があるのも事実です。
- 面談や成約実績などの経歴詐称
- スピード成約を強みにしている
- 業界への知識が乏しい
1. 面談や成約実績などの経歴詐称
経歴詐称については、非常にシンプルです。面談や成約が多すぎる経歴を持つ人は、主担当で仲介したM&A以外も実績としてカウントしている可能性が高いです。「主担当として手掛けられたM&Aの数」をヒアリングし、どれだけ細かく事例を話せるかで経歴詐称ではないかジャッジしてください。
2.スピード成約を強みにしている
スピード成約は、事業の状況よっては魅力的に聞こえるポイントかもしれません。しかしながら、そもそも何のためのM&Aなのでしょうか?M&A後に両社が更なる成長を実現し、社員がより安心して働き続けることを目指す中で、必ずしもスピードマッチングがいいとは限りません。特にスピードマッチングを謳うブローカーは、業績がいいとは言えないような会社を多く抱えているため「マッチング」の側面では強みを持っている場合もあります。なぜスピード成約が可能なのか?深掘りすることでブローカーか否かを見抜いてください。
3.業界への知識が乏しい
業界への知見に関しては、2でも触れた「何のためのM&Aなのか」に立ち返る必要があります。自社単独ではなく業界内外の会社と手を組む決断をした背景には、変化が激しい中でも継続して成長し続ける目標を持っているからだと思います。業界の歴史や商習慣を知らなブローカーでは、業界のより良い未来を経営者のパートナーとして描くことはできません。業界特有の言葉や法令改正など、業界に対してどれだけの知識と愛があるか質問してみてください。同じ、もしくはそれ以上の熱量で語ることのできる人は、ブローカーではなく、M&Aコンサルタントと言えるでしょう。
中央大学卒業後、GAテクノロジーズに入社。コーポレートコミュニケーションの専門部署であるCommunication Design Centerにて、オウンドメディアの立ち上げやDX銘柄プロジェクトなどを担当。またPR兼コピーライターとして、社内外へのコミュニケーション戦略の企画立案と実施に携わる。リノシークロスやモダンスタンダード、リノシーアセットマネジメントなどGAグループのBtoC・BtoBサービスにて広報を担当。2023年7月にスピカコンサルティングのPRを立ち上げ、現在は同社の広報戦略を担う。