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2025年12月物流業界M&Aまとめ

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2025年12月における物流業界のM&Aを解説します。また、今月は物流業界における地域ドミナント型のM&A戦略や法規制の変化についても解説しています。

この記事を見るとわかること

  • 2025年12月における物流業界の主要M&A
  • 物流業界における地域ドミナント型M&A
  • 2026年における物流業界の法規制の変化

目次

12月の代表的な公表M&A一覧

2025年の締めくくりとなる12月も、物流業界では多くのM&A事例が見られました。

12月だけで10件を超えるM&Aが成立し、業界再編の機運の高まりを強く感じさせます。2024年には物流業界全体で約120件であったM&A件数は、2025年には140件を超え、過去最多となりました。

全産業でみると、2024年のM&A件数が4,700件であったのに対し、2025年は5,115件と約8.8%増加しています。その中で物流業界のM&Aは前年比15%強の伸びとなり、他業種を上回るペースで拡大しているのが特徴です。

背景には、後継者不在や事業課題の解決を目的としたM&Aの全体的な増加傾向に加え、物流業界特有の事情があります。慢性的なドライバー不足や改正物流二法の施行など、業界が変化の過渡期にあることが、M&A件数の増加をさらに加速させているといえるでしょう。

公表年月日

譲渡企業(売り手企業)

譲受企業(買い手企業)

形式

目的

2025年12月16日

マルヨ産業運送(株)[岩手県]

     三八五流通(株)[青森県]

株式取得

岩手県での新規取引拡大とドミナントによる効率化

三八五バス(株)[青森県]

2025年12月16日

Commonwealth Kokubu Logistics Pte. Ltd.     [シンガポール]

(株)商船三井     [東証9104・東京都]

資本参加

 

シンガポール最大規模の食品コールドチェーン物流会社に資本参画

2025年12月19日

NX日本海倉庫(株)[新潟県]

(株)リンコーコーポレーション[東証9355・新潟県]

株式取得

日通子会社の切り離し

2025年12月25日

丸嘉運輸倉庫(株)[東京都]

SBS東芝ロジスティクス(株)[東京都]

株式取得

SBSグループの顧客に対し、丸嘉運輸倉庫の精密・医療機器物流の提案を行うなどサービスを拡充する

2025年12月26日

大宮通運(株)[埼玉県]

澁澤倉庫(株)[東証9304・東京都]

株式交換

連結子会社2社の完全子会社化

平和みらい(株)[静岡県]

<2025年12月の物流業界 代表的な公表M&A>

【Pick up M&A】マルヨ産業運送 × 三八五流通/三八五バス

2025年12月16日、三八五流通株式会社および三八五バス株式会社(青森県)は、マルヨ産業運送株式会社(岩手県)の全株式を取得し、同社を子会社化したことを発表しました。

マルヨ産業運送は1974年5月創業の一般貨物自動車運送事業者であり、冷凍・冷蔵倉庫賃貸業も手がける地域密着型の物流企業です。従業員数は55名、保有車両は約60台と公表されています。

譲受企業である三八五グループは、東北地方を中心に一般貨物運送を展開する物流グループで、グループ企業数は41社、全国に約80拠点を構えています。もっとも、その拠点網は全国均等ではなく、東北地方に集中した展開が特徴です。今回グループに迎え入れたマルヨ産業運送が所在する岩手エリアについても、三八五グループはすでに複数の拠点を有していました。

では、すでに岩手県内に複数の拠点を持つ三八五グループが、あらためて同エリアの企業を迎え入れる必要があったのでしょうか。

その背景には、地域に特化したドミナント戦略があると考えられます。 

一般的に物流業界のM&Aは、「拠点の獲得」を主目的として行われるケースが多く、他府県への、いわゆる“飛び地”進出が目立ちます。こうしたM&Aは、短期間での市場参入や組織構築が可能というメリットがある一方で、

  • 地の利がなく、地域特性を活かしづらい
  • 荷主基盤の構築に時間を要する
  • 買収後すぐの収益改善が難しい

といった課題を抱えることもあります。

これに対し、すでに事業所と顧客基盤を有するエリアでの追加的なM&Aは、

  • グループ入り後、早期にシナジーを創出しやすい
  • 配車やコース設計の最適化が可能
  • 帰り荷の確保による積載率向上が期待できる

といった点で、収益性改善の確度が高い戦略と言えます。

三八五グループは、運送機能に加え、倉庫保管、鉄道輸送など、一貫物流に対応できる体制をグループ内に有しています。グループに参画することで、マルヨ産業運送は、単独では難しかった広域提案や、複合輸送・保管を組み合わせた物流提案、さらには既存荷主に対するサービス高度化といった、新たな付加価値を提供できるようになるでしょう。

もっとも、地域ドミナント型のM&Aが、すべての物流事業者にとって最適な解であるとは限りません。自社に不足している経営資源は何か、どの機能を補完すべきかを正しく把握したうえで、最も合理的な戦略を選択することが求められます。

業界のニュース

2025年以降の物流業界を取り巻く環境変化

改正物流二法の施行、トラック事業適正化関連法の可決、燃料費・人件費の高止まりなど、2025年の物流業界を取り巻く外部環境は大きく変化しました。「2024年問題」から1年が経過し、物流企業のコンプライアンスに向けられる視線は、これまで以上に厳しさを増しています。

実際、日本郵政による不適切点呼問題に伴う事業停止処分や、協力会社に無償の荷役作業を行わせていたとして公正取引委員会から再発防止勧告を受けたセンコーグループの事例など、これまで十分にメスが入らなかった大手企業に対しても是正の動きが本格化していることは、多くの事業者が実感しているところではないでしょうか。

こうした流れの中、物流業界をめぐる法規制の変化は、2026年に向けても数多く予定されています。主なものは以下の3点です。

  1. 物流統括責任者(CLO)の選任義務
  2. 白トラ行為に係る荷主等への規制強化
  3. 委託次数の制限(原則2次請まで)

これらはいずれも2026年4月からの施行が予定されており、なかでも物流事業者への影響が最も大きいのは、3の「委託次数の制限」ではないでしょうか。

委託回数の制限がもたらす影響は、必ずしも前向きなものばかりではありません。
元請事業者に対して「委託は2次下請までに抑える努力義務」が課されることで、現在3次・4次下請として実運送を担っている事業者は、仕事の確保が難しくなる可能性があります。 

しかし、その影響を受けるのは下請事業者だけではありません。
元請の立場にある事業者であっても、今後は荷主から厳しく選別される時代に入ると考えられます。

これまでの多層構造では、元請運賃から各層で手数料を差し引いていく、いわば「引き算」の連鎖が一般的でした。しかし今後は、実運送事業者の「適正原価」を起点とし、そこに元請事業者の手数料を上乗せする「足し算」の考え方へと転換していきます。 

その結果、
下請次数が少なく、自社で実運送できる車両台数を十分に保有している――
こうした元請事業者が、荷主から選ばれやすくなる構造が生まれます。

「自社でどれだけ走り切れるか」。
この実車力こそが、今後の仕事量を左右する決定的な要素になる時代に入ったと言えるでしょう。

拡大する事業者間の格差

もともと、一定規模以上の車両台数を保有する企業の業績が良好であることは、トラック協会の経営分析などでも繰り返し指摘されてきました(※グラフ参照)。
改正下請法や委託次数制限の施行により、この傾向はさらに顕著になると考えられます。

全日本トラック協会経営分析報告書よりスピカコンサルティング作成

すでに広がりつつあった「稼げる大手」と「稼ぎにくい中小」の格差は、今後、収益面にとどまらず、事業継続の可否という次元にまで拡大する可能性がありますが、さらに重要なのが、法規制への対応力です。2024年4月から義務化された「実運送体制管理簿」についても、現時点で十分に整備できていない元請事業者は少なくありません。

一方、荷主企業側では今後、物流統括責任者(CLO)の選任・届出が義務化されます。
これにより、荷主が元請事業者に対して、実運送体制管理簿の提出を求めるケースが増加すると予想されます。

 さらに2028年には、トラック運送事業許可更新制に基づく本格的な指導が見込まれています。業績が低迷している事業者や、求められる法規制に対応できていない事業者に対しては、厳しい指摘や是正要求がなされる可能性が高いでしょう。

このような環境下においては、

  • M&Aにより事業者を迎え入れ、車両台数を増やして実車力を強化する
  • 大手グループの傘下に入り、資本力やスケールメリットを活かした経営へシフトする

といった選択肢が、一つの有力な打ち手となり得ます。

 

いずれの道を選ぶにしても、最も重要なのは現状の正確な把握です。
今後の市場環境において、自社には何が不足しているのか、どのような手を打つべきなのか——
これらを冷静に見極めることが、いままさに求められています。

担当者からのコメント アイコンこの記事の執筆者

上野 空良

京都府出身。立命館大学経営学部卒業後、2024年に新卒でGAテクノロジーズに入社、スピカコンサルティングに参画。運行管理者資格保有。

担当者:上野 空良部署:物流業界支援部役職:M&Aコンサルタント

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