2025年1月の製造業M&Aまとめ
アマダとエイチアンドエフの統合で実現する金属プレス加工分野の強化
2025年1月において、製造業界で注目を集めたM&Aの一例として、工作機械大手のアマダがカナデビア(旧日立造船)の子会社エイチアンドエフ(福井県あわら市)を買収した事例が挙げられます。

両社の統合により、金属プレス加工のトータルコーディネートメーカーが誕生
アマダは国内最大手の板金効工機メーカーであり、グループ企業のアマダプレスシステム (神奈川県伊勢原市) を通じてプレス機械事業も展開しています。ただし、これまでは主に中小型プレス機械を中心としていました。一方、エイチアンドエフは500トン級の大型から3000トンを超える超大型プレス機械の制造を得意としています。今回のM&Aにより、両社は効果効ブラインの相互補完を図り、商品ラインナップや顧客基盤の拡大を実現する狙いです。
その結果、アマダは金属プレス効果効ブラインのトータルコーディネートメーカーとしての地位を確立することが期待されます。
進む工作機械業界の再編
このM&Aは、国内工作機械業界の再編が加速していることを示す象徴的な事例といえます。
グローバル競争の激化や人手不足の深刻化により、企業はM&Aを通じて事業領域を拡大し、シナジー効果を追求する傾向を強めています。アマダによるエイチアンドエフの買収は、この流れの一環といえるでしょう。特に、アマダにとって超大型プレス機分野の強化は、顧客の多様なニーズに対応するために不可欠でした。エイチアンドエフの技術力とアマダグループの営業力が融合することで、国内市場のみならず海外市場への展開も加速する可能性が高いとみられます。
また、こうした業界再編の背景には、単なる規模の拡大ではなく、持続的な競争力確保という視点があります。直近では、NIDECによる牧野フライス製作所へのTOB(株式公開買付)も注目を集めており、今後も同様の動きが続くことが予想されます。

日産と本田技研工業の経営統合
また、M&Aに関するニュースとして、日産自動車と本田技研工業の経営統合の動向も大きな話題となりました。
2023年末、両社は経営統合に向けた基本合意書を締結し、技術開発や部品調達の面で規模の経済を活かすことを目的に協力を進める計画を発表しました。しかし、わずか2カ月後の2024年2月、両社から統合計画を白紙撤回する決定が下されたことも世間の大きな関心を集めました。
もし統合が実現していれば、自動車業界の大型再編が実現し、販売台数世界第三位の自動車グループが誕生していた可能性がありました。その結果、両社のサプライチェーンにも大きな変化がもたらされていたことから、その影響は計り知れません。
過去の大手同士の統合事例
マツモトキヨシとココカラファインの統合
製造業以外でも、大手企業同士の経営統合の事例は数多く存在します。
例えば、2021年にマツモトキヨシとココカラファインが経営統合し、ドラッグストア業界の競争環境に大きな影響を与えたことは記憶に新しいです。
この統合の目的は、規模の経済を活かして購買力を強化し、効率的なオペレーションを目指すことにありましたが、統合から約3年経過した現在、統合によるシナジーはどのような形で表れているでしょうか。
統合報告書によれば、国内店舗においては収益力が大幅に改善し、海外においては事業展開国を5か国に拡大、既存の出店国でも店舗数を増やし規模を拡大するなどの成果が見られており、2024年3月期では過去最高売上となっています。また、PBRは約2倍で推移しており、統合によるシナジー効果を着実に発揮し、企業価値の向上につながっているようです。
まとめ
- 株式会社アマダは、エイチアンドエフの買収を通じて、金属プレス加工のトータルコーディネートメーカーとしての新たな地位を確立する狙いがあります。
- グローバル競争の激化や人手不足、技術革新といった課題に対応するため、M&Aによる事業再編が業界全体で進む中、今回の統合はその象徴的な事例と言えるでしょう。
- 他業界における大手企業間の統合事例も示すように、規模の経済やシナジー効果を最大限に引き出すことで、企業価値の向上と市場戦略の革新が期待されます。
- 今後も、国内外の市場環境の変化に柔軟に対応しながら、各企業が最適なM&A戦略を採ることが、持続可能な成長への鍵となるでしょう。
このように、アマダとエイチアンドエフの統合は、単なる企業買収に留まらず、業界全体の構造改革と革新的な成長戦略を示すものであり、今後の展開に大いに注目すべき事例となります。各企業が自社の強みを最大限に活かし、時代の変化に対応していく中で、M&Aは重要な成長エンジンとして、今後も多くの業界でその存在感を増していくことでしょう。
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大阪府出身。大阪府立大学大学院工学研究科修了後、2010年に新卒でキーエンスに入社。中小企業から上場企業まで工場の生産性向上やIoTシステム導入支援などに貢献。その後、日本M&Aセンターへ入社し、業界再編部において製造業専門チームを立ち上げ。2023年スピカコンサルティングに参画。