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2025年8月の食品業界M&Aまとめ

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目次

8月の主な公表M&A一覧

2025年8月の食品業界のM&A件数は19組(公表ベース)

子会社の吸収合併などの組織再編やマイノリティ出資、合弁会社の設立などを除き、過半数以上の株式譲渡または事業譲渡が行われた件数は、公表ベースで19件となり、1~8月の累計件数は112件となりました。なお、前年同月は15件、前年1~8月の累計件数は92件となっており、累積件数では増加傾向にあるといえるでしょう。

公表日

譲渡企業(売り手企業)

譲受企業(買い手企業)

形式

2025年8月1日

株式会社フーズパレット(非上場・兵庫)

株式会社フーズパレット(非上場・大阪)

株式譲渡

2025年8月1日

AP Company USA Inc.(3175・アメリカ)

株式会社フューチャーバイブス(非上場・東京)

株式譲渡

2025年8月1日

株式会社pangaea(非上場・神奈川)

株式会社beagle(非上場・東京)

株式譲渡

2025年8月3日

株式会社風土食房(非上場・千葉)

ヤマモリ株式会社(非上場・三重)

 

株式譲渡

2025年8月4日

井原水産株式会社(非上場・北海道)

株式会社西原商会(非上場・鹿児島)

 

株式譲渡

2025年8月4日

株式会社ナカムラ米飯(非上場・埼玉)

株式会社ベルク(9974・埼玉)

 

株式譲渡

2025年8月4日

株式会社マッシュフードラボ(非上場・東京)

株式会社グリーンハウスフーズ(非上場・東京)

事業譲渡

2025年8月5日

株式会社古川ミート(非上場・宮城)

株式会社OICグループ(非上場・神奈川)

 

株式譲渡

2025年8月5日

株式会社スタイルズ(非上場・東京)

株式会社エスクリ(2196・東京)

 

事業譲渡

2025年8月5日

たびスル株式会社(非上場・東京)

ロイヤルホールディングス株式会社(8179・東京)

株式譲渡

2025年8月7日

株式会社とりやたまや(非上場・長野)

株式会社テイクオーバー(非上場・静岡)

 

株式譲渡

2025年8月8日

小畠酒類販賣株式会社(非上場・広島)

ヤマエグループホールディングス株式会社(7130・福岡)

株式譲渡

2025年8月18日

株式会社PAPABUBBLE JAPAN(非上場・東京)

株式会社アカツキ(3932・東京)

 

株式譲渡

2025年8月18日

株式会社すし丸(非上場・愛媛)

株式会社三福ホールディングス(非上場・愛媛)

株式譲渡

2025年8月25日

有限会社いしかわ(非上場・鳥取)

株式会社サンインマルイ(非上場・鳥取)

 

事業譲渡

2025年8月27日

株式会社ミートプランニング(非上場・群馬)

株式会社G-7ホールディングス(7508・兵庫)

株式譲渡

2025年8月28日

株式会社金谷ホテルベーカリー(非上場・栃木)

東武鉄道株式会社(9001・東京)

株式譲渡

2025年8月28日

株式会社アジアンテイブル(非上場・神奈川)

ワイエスフード株式会社(3358・福岡)

事業譲渡

2025年8月29日

株式会社JYU-KEN(非上場・神奈川県)

ワイエスフード株式会社(3358・福岡)

事業譲渡

<2025年8月の食品業界公表M&A>

「九州筑豊ラーメン 山小屋」などの飲食事業を展開するワイエスフード株式会社(以下、ワイエスフード)は、子会社の株式会社Yappa(以下、Yappa)を通じて、この8月に2件のM&Aを公表しました。Yappaは、ワイエスフードが2025年7月31日にM&Aにより完全子会社化したばかりの、「焼肉やっぱ。」を運営する企業です。M&A後わずか1か月にして、今度は譲受側として2社を引き受けることになりました。まさに、大手資本のグループに加わり、成長戦略を描く典型的な事例と言えるのではないでしょうか。

もともとYappaは、DXを通じた業務オペレーションの高度化が高く評価され、ワイエスフードが掲げる「多様なジャンルを取り込む総合飲食プラットフォームへの進化」という中長期方針と合致することから、ワイエスフードとのM&Aに至りました。

今回、YappaがM&Aで譲り受ける事業は、株式会社JYU-KENが運営する高級焼肉店「焼肉BEEFMAN横浜」と株式会社アジアンテイブルが運営するフランス郷土料理店「ROTISSERIE☆BLUE」の2つです。これらのブランドは、いずれも高単価かつ好立地に位置しているため、Yappaが有するDXのノウハウを共有・導入することにより、人的資源の効率的活用・商品開発力の強化・市場競争力の向上が見込まれます。

また、親会社であるワイエスフードは、事業の中核である国内直営店及びフランチャイズ店の店舗数の減少に伴い収益性が低下していたため、Yappaの業績が伸びることで、全体業績の回復が期待されます。

 

ワイエスフードに限らず、昨今、フランチャイズビジネスは一つの危機に面しています。もともと、フランチャイズ加盟店は1980~1990年代でブームとなった「脱サラ」を機に開業したオーナーも多いです。それからすでに30~40年が経過しており、オーナーの高齢化が進んでいます。そして、高齢のオーナーは、自分の経営している間に投資回収が出来ないと考えると、途端に設備投資に消極的になる傾向があります。その結果、店舗の競争力が低下し、顧客離れや収益性の悪化を経て、最終的に撤退に至る例も少なくありません。ワイエスフードがこのようなケースに該当するかは明らかではありませんが、こうした背景から、店舗数を大きく減少させるフランチャイザーが存在することも事実です。そのため、各社は次なる事業の柱を模索する必要に迫られています。

今回のYappaのような、次の事業の柱になりそうな企業をグループに迎え入れ、その企業に新たな企業をロールアップしていくケースは、今後も増えることが予想されます。単独での成長が厳しいと感じる中堅企業のオーナーは、大手資本を借りながら自社をより成長させる選択肢があることを知っておくと良いかもしれません。

業界のニュース

食の壁への挑戦~世界のハラール市場へ広がる日本食品の可能性~

オタフクソース株式会社(以下、オタフクソース)のマレーシア現地法人であるOTAFUKU SAUCE MALAYSIA SDN,BHD.(以下、オタフクソースマレーシア)は、マレーシアに社屋と工場を新設しました。今回の新工場は、マレーシアのハラール認証制度「JAKIM」の監査のもと、ハラール製造工場としての認証を取得しています。

オタフクソースマレーシアは、2016年4月にマレーシア・セランゴール州に設立されました。ムスリム市場の食文化に貢献することを目的とし、ハラール対応の調味料を製造・販売しており、オタフクグループ唯一のハラール調味料専用の工場です。 

昨今、高品質で安全性の高い日本の食品は、ハラール市場においても高い信用力があり、注目を集めています。世界の4人に1人を占めるムスリム人口の増加に伴い、急速に拡大するハラール食品市場の規模は、世界全体で約370兆円を超えるといわれています。その拡大は中東や東南アジアにとどまらず、欧米にも広がっています。今後、2033年までに約770兆円まで拡大するといわれているハラール食品市場は、日本の企業にとっても非常に魅力的な市場であるといえます。

しかし、国内に目を向けると、訪日外国人観光客が増加しているにも関わらず、国内のハラールフード対応飲食店の数はいまだに少ないのが実情です。今後国内の飲食店にとって、ハラール認証の取得は顧客層拡大の戦略の1つとなるでしょう。

日本の人口が減少している一方で、世界の人口は82億人超と増加の傾向を見せています。そのような中、今後国内の食品企業は、海外市場での競争力の向上が必要になってくることでしょう。今回のオタフクソースのような挑戦は、今後も多くの日本企業で増えていくことでしょう。

まとめ

ワイエスフードの子会社になり急速に拡大するYappa、ハラール市場への挑戦を続けるオタフクソースなど、成長する企業は時代に合わせて常に変化し続けています。自社単体ではない成長の可能性や世界市場に目を向けることなど、経営の視野を広く持つことが肝要です。現代は、ニーズが多様化するだけではなく、その変化のスピードも上がっています。そのような中で必要とされるのは、多様な業態を保有してリスク分散ができる経営か、成長分野に大きく投資をする経営です。最終的には、いずれも資本力が大きく勝敗を左右します。そのため、これからは大手資本による業界再編が活発化することが予想されます。今後の食品業界がどのような動きをみせていくのか注目です。

担当者からのコメント アイコンこの記事の執筆者

吉原 圭吾

埼玉県出身。実家は埼玉県にて結婚式場・葬儀場を営む。一橋大学商学部卒業後、2025年に新卒でスピカコンサルティングに参画。

担当者:吉原 圭吾部署:食品業界支援部役職:M&Aコンサルタント

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