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業界別M&A
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2025年3月製造業のM&Aまとめ

目次

​印刷機械メーカー「メトロテック」の譲渡と業界再編の一歩

2025年3月に製造業で注目を集めたM&Aの一例として、株式会社イムラ(3955)の連結子会社である株式会社メトロテックの譲渡事例があります。

譲渡先は第一工業株式会社で、2025年3月31日に株式譲渡が実行されました。

公表日

譲渡企業(売り手)

譲受企業(買い手)

形式

2025年3月31日

株式会社メトロテック

第一工業株式会社

株式譲渡

メトロテックは、1988年に設立され、主に印刷物の封入機械などを製造販売してきました。しかし近年、社会のデジタル化が加速し、紙媒体の需要が頭打ちとなる中で、イムラはグループ戦略の見直しを進め、メトロテックには新たな提携先が必要との判断に至ります。

一方、譲受企業である第一工業は、空調や給排水設備といった環境設備関連事業、および搬送システム事業を展開。同社が保有する搬送システム技術とメトロテックが持つ技術・製品群を活用した親和性が高く、今後のシナジー創出および業界への貢献が期待されることから、今回の譲渡が決定されました。

紙からコンテンツへ、日本創発グループが描く印刷業の未来地図

印刷業界は今、大きな転換期を迎えています。デジタル化の進展により、出版物や広告物の需要は減少し、同時に人材・資材・物流などの課題も深刻化しています。2003年には約35,000社あった印刷事業者が、2024年には13,500社ほどに減少しました。

このような構造変化の中、注目を集めているのが日本創発グループ(NSG)の戦略です。NSGは、既存の「印刷と製本」事業を軸にしつつも、周辺・異業種へのM&Aを積極展開し、新たな価値創造に取り組んでいます。

たとえば、2023年に製本会社飯島製本を傘下に迎え、製本の内製化と品質向上を図ったほか、2024年には出版社アスコムを取得し、出版やデジタルメディアへの進出を実現しました。さらに、2025年にはフジプラス(印刷・販促・Webサービス)を譲り受けることで、総合力のあるクリエイティブ集団へと進化しています。

「再編」ではなく「再構築」──NSGが体現するM&Aの新たな意義

NSGのM&A戦略の核にあるのは、単なるスケール拡大ではなく、”価値の再構築”です。特徴的なのは、被買収企業の経営陣やブランドを基本的に維持し、自主性を尊重する方針を貫いていることです。中央集権型ではなく、各社の独立性や強みを尊重した”ネットワーク型経営”を志向しています。

さらにNSGは、「地域密着」と「事業承継支援」にも積極的です。たとえば、地方の印刷会社をグループ化し、観光パンフレットや自治体広報といった地場の仕事を継続しつつ、グループ全体の機能として活用することで、地域経済と自社の双方に利益をもたらしています。

このようなNSGの事例から、「M&Aとは未来を共に築くための対話の始まり」という姿勢を感じることができ、印刷業界に限らず他業種にも通じるヒントがあると考えられます。

担当者からのコメント アイコンこの記事の執筆者

石川 大

神奈川県出身。父親が経営する会社がM&Aで譲渡した経験を持つ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、新卒で野村證券に入社。2023年スピカコンサルティングに参画。

担当者:石川 大部署:製造業支援部役職:M&Aコンサルタント

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