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業界別M&A
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業界別!24年12月〜25年2月の主なM&A<調剤薬局業界編>

目次

24年12月~25年2月の主なM&A事例

2024年12月17日、総合メディカル株式会社による株式会社ライフアートの株式取得が発表されました。
ライフアート社は医療モール型の店舗展開を得意としており、広島県内の51店舗を中心に62店舗を運営しています。譲受先となった総合メディカルグループも、みずほ銀行系の投資ファンドであるポラリス・キャピタル・グループに自社の株式を2020年に700億円ほどで譲渡する形式でのM&Aを行っています(※2024年にCVCキャピタルパートナーズがポラリス・キャピタル・グループより同社の株式を1700億円ほどで譲受)。

総合メディカルグループはM&Aによる譲渡・譲受を活用し、3年間で約1000億円の企業価値向上を実現。総合メディカルグループも医療モール型店舗の開発を得意としているため、同じ強みを持つライフアートをグループに迎え入れることで、本件実行前に総合メディカルグループとして23店舗の出店に留まっていた広島県エリアのシェア拡大、近隣の岡山県(同12店舗)、山口県(同18店舗)、島根県(同5店舗)、鳥取県(未進出)での医療モール開発を加速させていくものと思われます。

直近4年間で発生した広島県内企業のM&A

広島県内では2021年に株式会社リライアンス、2022年に株式会社ファーマシィが資本提携を実行しており、独立系企業で店舗数ランキング上位3社が直近4年間で他資本へのグループ入りを選択した結果、現在県内店舗数の上位5社は総合メディカル、ツルハ、スズケン、アイン、CHCPといった大手グループが独占する形となりました。このような業界動向の中、県内36店舗を展開し、独立系企業では県内最多店舗数を誇るマイライフ株式会社は、

生活習慣病の予防から治療までをワンストップで対応できる「オールファーマシータウン」の拡大やタニタと提携したカフェ事業を始めとした地域コミュニティの創造で、従来の調剤薬局ビジネスからの脱却を実現しています。多くの調剤薬局運営会社は業界で生き残るため、M&Aを活用し大手グループ入りを実現するのか、単独で業界の変化に対応し他社との差別化を行うかの選択を迫られてます。

株式取得日

譲渡企業(売り手企業)

譲受企業(買い手企業)

店舗数

2021年4月1日

株式会社リライアンス

株式会社地域ヘルスケア連携基盤(CHCPグループ)

38店舗

2022年5月23日

株式会社ファーマシィ

株式会社アインホールディングス

約100店舗

2024年12月17日

株式会社ライフアート

総合メディカル株式会社

62店舗

<直近4年間で発生した広島県内中堅企業の株式譲渡>

業界特有のニュース

3月6日、参議院議員の猪瀬直樹氏が国会で「医療費のムダ」について答弁を行い業界では大きな話題となりました。猪瀬氏は答弁内で、現行の服薬管理指導料を「関所の通行料」と例え、このようなムダを省いていかなければ今後も国民医療費は増大し続けるため、OTC類似薬を公的医療保険の適応外にする等、社会保険料引き下げに向けた政策が必要であると述べられました。

また、近年増大が止まらない医療費は、戦時中に国が陸海空軍の圧力に抗えず、敗戦濃厚の中でも増大していった軍事費と性質が類似していると例え、増加のペースも当時の軍事費と同様であり、このまま医療費の増大が続けば若い世代の金銭的負担も増加せざるを得ず、国力の低下並びに戦時中と同じく若い世代(の将来)が犠牲になるとの答弁をなされました。

猪瀬氏は2023年にも調剤のロボット化と外部委託を進めるべきという趣旨の答弁をされており、薬剤師の専門性を高く評価する一方で、対物業務並びに対物業務に係る点数に関しては削減必要性を強く示されています。対物業務に対する点数が対人業務への点数へと移行される事は従来から確実視されていますが、今後の報酬改定における点数移行のスピード感が加速する可能性も高まってきていると考えられます。

まとめ

調剤薬局業界で今まで中々進んでこなかったオンライン化・DX化が、昨年からいよいよ進み始めた感覚があります。DX推進体制整備加算においても2年に1度の報酬改定を待たずしてマイナ保険証の利用率による点数変更が発表され、我々も調剤薬局経営者の方々とご面談をする中で変化のスピードに戸惑われている声を聞きます。

ただマクロな視点に立ってみると、猪瀬氏が述べられている通り、国内の医療費削減は避けて通れない事項です。そのためには調剤薬局においても、対物業務から対人業務への切り替えや、調剤ロボットやクラウド薬歴システムなどの設備投資を進めることで調剤薬局経営における人件費率を低下させなければなりません。

自社単独で変化に対応するのか、それとも時代に適応している企業にグループ入りをすることで変化に対応し存続を目指すのか、時代に合わせて客観的に自社を見つめ直し、経営戦略をアップデートする必要性が高まっています。

担当者からのコメント アイコンこの記事の執筆者

本田 太一

京都府出身。5歳より始めたフィギュアスケートで7度の全日本選手権出場、2度のインカレ団体優勝の経験がある。関西大学経済学部卒業後、2021年に新卒で日本M&Aセンターに入社し、一貫して調剤薬局業界のM&A業務に取り組む。2024年スピカコンサルティングに参画。

担当者:本田 太一部署:調剤薬局業界支援部役職:M&Aコンサルタント

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