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2026年2月の物流業界M&Aまとめ

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2026年2月における物流業界のM&Aを解説します。また今月は、AIが物流業界をどう変革するかについても考察いたします。

この記事を見るとわかること

  • 2026年2月における物流業界の主要M&A
  • 【Pick up M&A】郡山トラック運送株式会社× 東邦運輸倉庫株式会社
  • AIは物流業界をどう変えるのか

目次

2月の代表的な公表M&A一覧

2月も物流業界では、さまざまなスキームのM&Aが発表されました。

物流業界では現在、いわゆる「2024年問題」への対応に加え、2028年には事業許可更新制の導入も予定されており、事業環境は大きな転換期を迎えています。こうした中、企業単独での成長だけでなく、M&Aや資本提携を通じた事業基盤の強化を模索する動きは、今後さらに加速していくでしょう。

公表年月日

譲渡企業(売り手企業)

譲受企業(買い手企業)

形式

目的

2026年2月2日

郡山トラック運送(株)[福島県]

東邦運輸倉庫(株)[宮城県]

株式取得

福島県での輸送力強化と引っ越し事業のノウハウの獲得

2026年2月3日

TCS Logistics (Private) Limited     [パキスタン]

NIPPON EXPRESSホールディングス(株)[東証9147・東京都]

株式取得

今後の内需拡大が見込まれるパキスタンでのロジスティクス事業の強化

2026年2月8日

三重高虎ベースボールクラブ [三重県]

(株)日硝ハイウエー[三重県]

事業譲受

企業型クラブチームの運営

2026年2月12日

ロジスティード東日本流通サービス(株)[茨城県]

ロジスティード東日本(株)[東京都]

 

 

吸収合併

物流事業の競争力強化と効率化を目的とした組織再編

2026年2月24日

セントラル物流(株)[大阪府]

セイノースーパーエクスプレス(株)[東京都]

吸収合併

物流事業の競争力強化と効率化を目的とした組織再編

2026年2月27日

日本ポート産業(株)[兵庫県]

上組(株)[東証9364・兵庫県]

株式取得

70%を保有する連結子会社である日本ポート産業株式会社を完全子会社することで意思決定の迅速化とグループ連携を強化する

<2026年2月の物流業界 代表的な公表M&A>

【Pick Up M&A】郡山トラック運送株式会社×  東邦運輸倉庫株式会社

2026年2月2日、東邦運輸倉庫株式会社(宮城県)は、福島県で引越事業および一般貨物運送事業を手掛ける郡山トラック運送株式会社(福島県)の発行済株式の100%を取得し、完全子会社化することを発表しました。

郡山トラック運送は、バン車だけでなくレッカー車やパッカー車なども保有しており、地域の多様な輸送ニーズに対応してきた運送会社です。

一方、東邦運輸倉庫は東北地方を中心に事業を展開する物流企業で、グループ会社は8社、拠点数は25拠点にのぼります。すでに福島県郡山市にも拠点を構えており、本件M&Aにより同地域での輸送体制の強化と事業基盤の拡充が期待されます。東邦運輸倉庫は、東北6県にグループ会社および協力会社を配置し、独自の保管・配送ネットワークを活用した共同配送を展開しています。東北特有の「広域・遠隔地への少量配送」といった課題に対しても、拠点間ネットワークと物量を活かした効率的な配送体制を構築してきました。

今回のグループ化により、郡山トラック運送がこれまで自社単独では取り込みづらかった案件についても、東邦グループの荷物と組み合わせることで積載効率の向上や運行の最適化が期待されます。

また、東邦運輸倉庫は1996年に大手食品メーカー3社による共同配送を東北6県で開始するなど、共同配送の分野で豊富な実績を有しています。こうした長年培われたノウハウと広域ネットワークを活用することで、郡山トラック運送においてもさらなる輸送効率の向上が見込まれます。

本件は、地域密着型の運送会社が広域ネットワークを持つ物流企業のグループに参画することで、輸送効率の改善や営業機会の拡大が期待される典型的な事例といえるでしょう。

業界のニュース

AIは物流業界をどう変えるのか

―物流業界に迫る構造変化とM&A戦略―

今月、物流業界の株価がひとつのニュースひとつで大きく動きました。

2月13日、東京株式市場には物流大手企業の売り注文が殺到。NIPPON EXPRESSホールディングス、ヤマトホールディングス、SGホールディングスの株価は一時大きく下落しています。

発端は、米AI企業が開発したAI物流プラットフォーム「SemiCab」の導入事例が報じられたことです。同社によると、このシステムを導入した企業では、運営人員を増やすことなく貨物取扱量を300〜400%拡大したといいます。

市場は「AIが物流の構造そのものを変える可能性」に注目しました。では、このAI物流は具体的に何を変えようとしているのでしょうか。

なぜ物流は非効率になりやすいのか

現在の物流業界では、荷主からの依頼を受けた元請け・利用運送会社が実運送会社を探し、実運送会社がさらに空きトラックを探して配車担当者がルートを組む、という多段階の流れで輸送が行われています。

この構造には根深い非効率が潜んでいます。配車調整は今なお電話やメールに頼る部分が多く、需給の読み違いや地域・会社間の情報格差が常態化しています。なかでも深刻なのが「帰り便問題」です。目的地まで荷物を届けたトラックが、帰り便を見つけられずに空のまま戻るケースが後を絶ちません。

その結果、日本ではトラックの積載効率は平均40%程度にとどまっており、3〜4割のトラックが空車で走っているともいわれています。これは業界全体の収益性を押し下げる構造的な問題であり、長年の課題となってきました。

AIが「未来の輸送需要」を予測する

SemiCabはこうした課題に対し、膨大な物流データを統合・学習させることで、AIが輸送需要を事前に予測するアプローチを採っています。活用されるデータには、荷主の出荷履歴、地域ごとの需給状況、過去の運賃データ、トラックの現在地、曜日や季節の需要変動などが含まれます。

AIは「明日この地域でこの貨物が出る可能性が高い」「このトラックはここで帰り便を拾える可能性が高い」といった予測を行い、受注前に最適な場所へトラックを配置することを可能にします。

従来の「依頼が来てから動く」受動的なモデルから、「需要を先読みして動く」能動的なモデルへの転換です。これにより、空車率の低下・稼働率の向上・売上効率の改善が同時に実現できると期待されており、従来の物流オペレーションの常識を根底から覆す可能性を持っています。

タクシー業界の変化に似た未来

この変化を理解するうえで、タクシー業界の変容が参考になります。GOやUberの配車アプリが普及した現在、都市部でアプリを使っていないタクシーはほとんど見かけません。ユーザーは各タクシー会社に電話することなく、スマートフォン一つで最適な車を呼ぶことができます。

物流業界でも、同様の変化が起きる可能性が指摘されています。AIによるプラットフォームが普及すれば、荷主と運送会社の直接マッチングが進み、配車の「仲介」が不要になる場面が増えるかもしれません。

AI物流時代に生き残る企業の条件

AIによる配車最適化が普及するにつれ、企業にはデジタル投資が求められます。具体的には、GPS・デジタコ・動態管理システムといった設備を全車両に導入し、データを活用できる体制を整えることが前提となります。

加えて、配車業務のデジタル化、社内教育、業務プロセスの見直しといった組織面での対応も欠かせません。こうした投資はすべての運送会社にとって容易ではなく、対応できる企業とそうでない企業の差は今後さらに広がる可能性があります。

「実車力」の時代と物流M&A

AI物流が普及すると、利用運送会社や庸車率が高い運送会社にも影響が及ぶ可能性があります。AIによるマッチングが進めば、仲介の必要性が低下し、価格の透明化やマージンの縮小が起こりえます。

その結果、車両とドライバーを自社で保有し、実際の輸送力を持つ企業の価値が相対的に高まると考えられます。「運ぶ力そのもの」を持つ会社が強みを発揮できる時代になりつつあるのです。

こうした背景から、大手物流企業ではM&Aを活用して実車台数・ドライバーを確保する動きが加速しています。丸運のセンコーグループホールディングスグループ入り、ナカノ商会のヤマトホールディングスグループ入り、C&FロジホールディングスのSGホールディングスによる買収など、業界再編の動きはすでに顕在化しており、「実車力の争奪戦」とも言える状況が生まれています。

物流業界は「資本戦略の時代」へ

AI、人手不足、規制強化――物流業界は今、大きな転換期を迎えています。こうした環境の中で、「自社はこの業界でどのポジションを取るのか」を真剣に検討する企業が増えています。

自社の置かれている状況を客観的に把握し、適切なアクションを取ることが今まさに求められています。現状維持は後退と同義になりつつある時代において、M&Aをはじめとした資本戦略は、単なる成長手段ではなく、生き残りの選択肢の一つとなっています。

「このまま独立路線でいくべきか」「売却・グループ入りを検討すべきか」「買収で規模を拡大すべきか」――そうした問いにお答えするのが、私たちM&Aコンサルタントの役割です。まずはお気軽にご相談ください。

担当者からのコメント アイコンこの記事の執筆者

上野 空良

京都府出身。立命館大学経営学部卒業後、2024年に新卒でGAテクノロジーズに入社、スピカコンサルティングに参画。運行管理者資格保有。

担当者:上野 空良部署:物流業界支援部役職:M&Aコンサルタント

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