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2026年3月の調剤薬局業界M&Aまとめ

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2026年度調剤報酬改定の内容が明らかになり、長年業界のスタンダードであった「門前薬局・立地依存モデル」が明確に否定されました。集中率85%ルールをはじめとする厳しい改定内容に、多くの経営者がこれまでの拡大戦略の見直しを迫られています。

こうした中、注目を集めたのがPASSMEDとRISEによるM&Aです。これは単なる店舗数の拡大ではなく、「情報・教育・人材」と「臨床現場」を掛け合わせ、薬剤師の価値そのものを高めるという新たな戦略の形を示しています。

本記事では、3月の主要案件を振り返るとともに、新報酬体系下で調剤薬局が「選ばれる存在」であり続けるための具体的な処方箋を探ります。

この記事を見るとわかること

  • 2026年3月のM&A市場動向: 公表事例の裏で進む「水面下での再編」の実態
  • 【Pick Up】PASSMED × RISE: メディアの教育力と現場の運用力を融合させる4PL的シナジー
  • 2026年度調剤報酬改定の深掘り: 「立地依存減算」がもたらすビジネスモデルの崩壊と再生
  • 2040年を見据えた薬局経営: 在宅・かかりつけ機能の強化とDX活用の必至性
  • 賃上げと生産性の両立: 調剤ベースアップ評価料を活かすための「適正な評価体制」の構築

目次

3月の代表的な公表M&A一覧

3月は公表事例がなかったものの水面下での成約はおこなわれている

今月は、調剤薬局同士による公表事例のM&Aはありませんでしたが、異業種と調剤薬局による成約事例が1件公表されました。

もっとも、調剤薬局同士のM&Aは非公表で進められるケースが多いため、公表データに現れない成約事例は水面下で多数存在しているものと考えられます。

公表年月日

譲渡企業(売り手企業)

譲受企業(買い手企業)

形式

目的

2026年3月2日

(株)PASSMED[兵庫県]

RISE(株)[大阪府]

非公開

「教育・情報発信のノウハウ」と、「臨床現場・店舗運営の基盤」を統合

<2026年3月の調剤薬局業界 公表M&A>

薬剤師向け情報メディアである「新薬情報オンライン」や「薬学部試験対策室」をはじめ、「PASSMED公式LINE」で最新の医薬品情報を全国の薬剤師・薬学生に提供している株式会社PASSMEDと、「しろくま薬局」をはじめとする地域に根ざした薬局運営に加え、薬剤師人材紹介事業など、薬剤師のキャリア支援をおこなっているRISEグループがM&Aを発表しています。

調剤薬局業界が大きな変革期であるとともに、薬剤師の求められる能力やキャリアも変化している中で、「教育・情報発信のノウハウ」と、「臨床現場・店舗運営の基盤」を同一グループで事業展開でき、一気通貫でサービス提供が可能になることがシナジーとして想定できます。

両社が発表している今後の展望

1.現場に即した教育コンテンツの拡充

RISEグループの臨床現場で得られる知見を、PASSMEDの情報メディアや各プラットフォームにフィードバックすることで、より実践的で質の高い情報発信・学習環境を提供。

2.薬剤師のキャリア支援の強化

PASSMEDの情報メディア・プラットフォームを通じて繋がる意欲の高い薬剤師に対し、RISEグループのネットワークを活用した最適なキャリアパスの提案や就業支援。

3.情報発信による店舗ブランディング

PASSMEDのWebマーケティング力を活用し、RISEグループが展開する「地域に選ばれる薬局」の取り組みを広く発信。業界内でのプレゼンス向上。

業界のニュース

2026年調剤報酬改定の影響と求められること

今回の調剤報酬改定は、これまでの調剤薬局の常識を覆す内容となっており、多岐にわたる対応が求められています。今後に向けて、調剤薬局というビジネスモデルがどのような形で医療を支えるべきか、改めてその真価を問われるものとなりました。

主要なものとしては。以下の4点があげられます。

  • 立地依存から機能を重視
  • 2040年に向けた地域医療体制の構築
  • 生産性・効率性を向上させるDXの活用
  • 物価高騰と賃金アップの対応

これまで調剤薬局経営において「立地」が重要なものでした。しかし、2026年度の調剤報酬改定は、その「立地」を明確に根底から覆すものとなりました。

今回の改定で「立地依存」へのマイナスな影響として、都市部における集中率85%超かつ受付回数600回超の新規店舗を対象とした「立地依存減算」の新設は、これまでの門前薬局モデルでの店舗拡大を抑制するものとなっています。

今回は今後新設する薬局が対象となりますが、既存薬局についても次回以降の改定ではどうなるか分かりませんので、今のうちから集中率を85%以下にする対応が各薬局で求められます。

※集中率が85%以上の調剤薬局は、全体の39.3%程度とされており、集中率を下げる取り組みが重要です。(中央社会保険医療協議会より)

また、2040年問題と言われている高齢者人口のピークを迎えることを見据え、医療体制の構築も進んでいくことが予想されます。今回の改定で読み取れるものとしては、地域に根差した運営+かかりつけ機能+在宅(特に個人宅)といったようなモデルに変革することが求められており、かかりつけ薬剤師の要件変更などにつながっています。

先日弊社主催で開催した調剤報酬改定セミナーでは、多くの経営者の方々から調剤ベースアップ評価料について多くの質問がありました。どのように活用するかを慎重に検討する必要があるのと同時に、単なるベースアップではなく、適正な評価体制を構築するとともに、店舗運営の効率性を向上させなければいけないと、参加者の皆様はおっしゃられていました。

賃金ばかり上昇して、経営を圧迫していくことになりかねませんので、DX・ICT等の活用も積極的におこないながら、生産性の向上も合わせて取り組むことがことも重要になっていきます。

まとめ  

2026年の調剤報酬改定によって調剤薬局業界は大きな転換期を迎えました。これまでの常識が通用しなくなるタイミングではありますが、同時に変化にいち早く対応することができれば、調剤薬局としての価値を飛躍的に高める絶好の機会にもなり得ます。 

大切なのは、業界の潮流をいち早く掴み、目先の数字だけでなく、2040年やその先の自社のおかれている外部環境を見据えた長期的な視点で経営戦略を考えることが重要です。

その第一歩として、まずは今回の改定によって自社がどの程度の影響を受けるのかを精緻にシミュレーションすることから始めてみてはいかがでしょうか。その上で、自社の強みを活かせる領域を見極め、優先順位をつけて一つひとつの課題に取り組んでいくことが、持続可能な薬局経営を実現するための鍵となります。

変化を対応し進化し続けられる調剤薬局が、これからの地域医療を支え、生き残っていくことになるはずです。

担当者からのコメント アイコンこの記事の執筆者

沖田 大紀

神奈川県出身。青山学院大学卒業後、大和証券株式会社に入社。2017年に株式会社日本M&Aセンターに入社し、業種特化型の中堅・中小企業のM&Aに取り組む。在籍当時のコンサルタント(約600名)中、入社後の累計成約件数2位(2019年/2021年の成約件数全社1位)。調剤薬局業界の専門書籍等も出版。2023年スピカコンサルティングに参画。

担当者:沖田 大紀部署:調剤薬局業界支援部役職:執行役員

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