2026年1月の食品業界M&Aまとめ
2026年1月における食品業界のM&Aを解説します。また今月は、壱番屋によるポートフォリオ戦略や、食品業界のサステナビリティ経営と取り組みについても解説しています。
この記事を見るとわかること
- 2026年1月における食品業界の主要M&A
- 壱番屋によるポートフォリオ戦略M&A
- 食品業界のサステナビリティ経営と取り組み
1月の代表的な公表M&A一覧
子会社の吸収合併などの組織再編やマイノリティ出資、合弁会社の設立などを除き、過半数以上の株式譲渡または事業譲渡が行われた件数は、公表ベースで9件となりました。なお、前年同月は10件となっており前年同水準での滑り出しとなりました。
公表年月日 | 譲渡企業(売り手企業) | 譲受企業(買い手企業) | 形式 | 目的 |
|---|---|---|---|---|
2026年1月5日 | (株)朱友[京都府] | (株)ベジテック[神奈川県] | 株式譲渡 | 全国供給体制の整備のため |
2026年1月5日 | (株)GAKU[北海道] | (株)壱番屋[東証/名証7630・東京都] | 株式譲渡 | 食のエンターテイメント企業を目指すにあたり、「夜パフェ文化」発祥に店のブランドをグループに招き入れ企業価値を向上させるため |
2026年1月7日 | (株)ファインフルーツおおぎみ[沖縄県] | (株)OICグループ[神奈川県] | 株式譲渡 | 南国フルーツの生産拡大を目指すため |
2026年1月9日 | (株)東海軒[静岡県] | (株)天神屋[静岡県] | 事業譲渡 | 受け継がれてきた屋号や従業員や多くのお客様に愛されてきた味を引き継ぐため |
2026年1月15日 | (株)ロン[大阪府] | (株)クリエイト・レストランツ・ホールディングス[東証3387・東京都] | 株式譲渡 | 日常食としての洋食カテゴリー事業の深化やポートフォリオ強化、フランチャイズ展開のシナジーなどが見込めたため |
2026年1月15日 | (株)Tecona Bagel[東京都] | (株)クリエイト・レストランツ・ホールディングス[東証3387・東京都] | 株式譲渡 | 高いブランド力によるベーカリーブランドユニットの価値最大化と、クリエイト・レストランツ・ホールディングスが保有する豊富な物件情報と展開ノウハウの融合によりグループ全体の企業価値向上を目指すため |
2026年1月16日 | ぎんどう(不明) | リジェネソーム(株)[東京都] | 事業譲渡 | 販売されるスープや出汁に含まれるナノ粒子を中心とした健康成分の検出・評価を進め、その知見を製品改良に即座に反映させる「研究開発型D2C」を展開するため |
2026年1月19日 | (株)A&C[広島県] | 広島電鉄(株)[東証9033・広島県] | 株式譲渡 | 両社がともに事業の拠点と し、国内外からの観光需要が活況を呈する宮島口およびその周辺における連携により、地域全体の活性化に寄与するため |
2026年1月26日 | (有)千総[大阪府] | (株)神戸紅茶[兵庫県] | 事業譲渡 | 神戸紅茶の卸先ネットワークを活用した販路拡大などのシナジーが予想される |
<2026年1月の食品業界 公表M&A>
【Pick Up M&A】GAKU × 壱番屋
株式会社壱番屋は、北海道の「夜パフェ」文化発祥のお店といわれる株式会社GAKUをグループ会社化しました。
GAKUの「夜パフェ」は締めの後に食べるパフェというコンセプトで、1個あたり2,000円を超える価格帯でありながら、非常に人気のお店となっており、「夜パフェ」「締めパフェ」ブームの火付け役となりました。
このようなパフェ専門店の業態では様々なブランドが展開していますが、2027年までに100店舗展開を目指す「VIGO」や会員制パフェ専門店「Remake easy」など有名店の店舗展開も進んでいます。
いずれも食後に食べる「カクテル」のようなパフェというコンセプトを掲げており、従来のパフェではない新しいカテゴリーとしてのパフェが確立されつつあるといえます。
一方で、壱番屋というと、カレーハウスCoCo壱番屋でおなじみの企業ですが、実は過去にもジンギスカン業態やラーメン業態などのカレー以外の業態のM&Aを行って来ました。
どちらも、店舗数の多いチェーン店ではなく10店舗以下の人気ブランドを譲り受けています。
同社はさまざまなシーンで"食の楽しさと感動"をご提供する「食のエンターテイメント企業」 を目指しており、この一環としてポートフォリオのさらなる展開を行った事例といえ、本件も同様に有名でかつ発祥店というブランド価値を生かした今後の展開を見据えたM&Aだと言えます。
業界のニュース
食品業界進むサステナビリティへの取り組み
昨今、業種を問わずサステナビリティへの取り組みが進んでいます。
サステナビリティとは「持続可能性」のことですが、その中身として「環境的持続性」「社会的持続性」「経済的持続性」の3本の柱があります。
とりわけ、食品業界においては「環境的持続性」について大きく取り上げられることがあり、特にフードロス削減を目指す取り組みが行われています。
内閣府「食品ロス削減推進会議」による第一次基本方針では2020年比で2030年までに家庭形・事業系食品ロスの50%削減を掲げていましたが、8年前倒しの2022年時点で事業系食品ロスは半減を達成しました。
さらに、第二次基本方針では事業系の食品ロスを60%削減という新たな目標案が提示され、企業に対してさらなる食品ロスへの取り組みが求められています。
味の素冷凍食品では、従来では商品として扱うことが難しい規格外品の有効活用によるフードロス削減を目的とした「未来CYCLE」を立ち上げました。
その第一弾の取り組みとして、規格外のカヌレを製品として扱う「未来CYCLE ふぞろいプチカヌレ」を発売しています。同社は、規格外品をたい肥化により100%資源化していましたが、製品として扱うという新たなアプローチとして本取り組みを始めました。
公共財団法人流通経済研究所が2026年1月に発表した調査によると、食品ロスに取り組む企業の製品について納得して購入するのに必要なこととして、商品の品質や安全性に問題がないこと・食品ロスがどれくらい減るのか説明されていること・取り組みによる価格メリット(お得になる)が高い割合を占めました。
また、「食品ロス」という言葉は9割以上の認知があることも分かり、一定の食品ロスへの関心が伺えます。
一方で、上記調査からも分かる通り、純粋な善意での消費者行動だけとは言えません。
「安全であり、価格メリットがある」という点も同時にアピールする必要があり、企業の取り組みとしてのサステナビリティの活動に消費者を巻き込めるような活動が求められているといえます。
まとめ
食品業界においては、昨年同様にM&Aが活発に行われると予測されます。
特に、外食業大手ではポートフォリオ戦略が引き続き行われており、自社にない特徴を持ったブランドの譲受が行われると考えています。
また、機関投資家などからの評価においてESG(環境・評価・ガバナンス)評価が重視されており、サステナビリティという観点での企業価値向上も不可欠となっています。
このように、従来通りのM&Aという戦略に加え、サステナビリティの取り組みを生かした企業価値向上等、今後は新たな観点での経営戦略も求められてくると言えます。
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兵庫県出身。自身の経営する会社を譲渡後、業界特化型のスタートアップにて法人営業およびPdMに従事。また、講師として業界課題解決セミナーに複数回登壇。300社以上の業務改善支援の実績がある。2024年スピカコンサルティングに参画。