食品製造業界2025年大予測〜次の時代を切り拓く技術の誕生へ〜
2025年の食品製造業界はこうなる
この数年の相次ぐ原料の不作等により、価格が高騰していく中で、それらを解決する新しい取組が注目を集めている。例えば、2020年と比較して価格が3倍になったカカオについては、2020年初頭から欧米のスタートアップなど代替チョコレートの開発を進めてきたが、2024年には韓国のスタートアップ企業であるHNノバテックが独自の代替カカオ原料を開発するなど新たな動きが見られた。代替原料の他にも、フードロスを削減するベンチャーのクラダシが2023年に東証グロース市場に上場を果たすなど、新たな動きが注目を集めている。こうしたフードテックと呼ばれる新しい業態を取り入れていく動きが食品製造業でも加速していくことであろう。
また、健康食品関連も引き続き伸びていくことが想定される。2024年に再びブームとなったアサイーは、高い栄養価と美容効果によりSNSを中心に情報拡散され市場から品薄になり、アサイーを中心とした製品の展開をしているフルッタフルッタの株価が一時急騰するといった出来事もあった。ブームはいずれ終わるかもしれないが、健康志向は定着しているものになるので、今後も健康に配慮した付加価値の高い食品製造は増えていくと考えられる。また、世界で見れば人口増加しているため、積極的な海外投資がより一層加速していくであろう。

2025年の食品製造業界経営者に求められること
外食同様、付加価値の高い商品開発が必要となってくる。例えば缶詰業界でいくと、2024年は災害が多かったことから備蓄需要が高まり注目を集めたが、同時に訪日外国人が増えている中、お土産としての缶詰の需要など見方を変えることで商品の販売戦略も変わってくる。工場で決まった機械を活用して生産している以上、大幅な商品変更は難しい食品製造業は、こうした切り口を変える経営戦略を立てられるかが経営者に求められている。
また、M&Aを積極的に活用することも経営者に求められるであろう。一般に食品製造業は極力商品数を減らし、売れ筋の商品に一点集中して製造するほうが作業員の熟練度も増し収益性が高まるうえ、計画的な生産が実現できる。幅広く商品を製造しても、その分だけ生産性が悪くなるのが特徴だ。一方で、昨今の原料高騰により、自社の主力商品の原料が急騰してしまっては、なかなか解決が難しい。こうした事態を避けるためには、グループ内で他の商品に特化した企業があることが望ましいためM&A戦略を考えることも重要となる。また、食品製造業は輸出によって海外でも展開しやすいため、外資規制など各国の市場について理解しておく必要がある。
具体的な事例
2022年から大手コンビニのローソンは、おせちの製造時に発生する端材や規格外品などを活用し、たMottainaiおせちをリリースしている。従来であれば食品ロスになっていた食品を、切り口を変えて購入される商品へとアップデートすることで無駄をなくし、売上へと繋げている。
近年の物価上昇に伴い、顧客の間で節約志向が生まれている中で消費者が手ごろな価格で購入できるだけではなく、食品ロスへの貢献といった社会的な意味も合わせて持たせられている。
宮崎県出身。慶應義塾大学卒業後、新卒でリクルートに入社。ブライダル事業に9年間携わった後に、日本M&Aセンターに入社。一貫して食品業界のM&Aに従事し、2020年には同社で最も多くの食品製造業のM&Aを支援した。食品業界専門グループの責任者を務め、著書に「The Story〔食品業界編〕業界を勝ち抜くために知っておきたい秘密」がある。2024年スピカコンサルティングに参画。