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食品製造業界2024年振り返り〜原料・エネルギー高騰と向き合った1年〜

目次

2024年の食品製造業界におけるホットトピック

2024年の食品製造業界のトピックスと言えば、原料・エネルギーの高騰であったと言える。
特に話題になったのは「カカオショック」「令和の米騒動」「食用油の高騰」などであろう。

これらは異常気象などによる不作だけではなく、生産国の財務状況や国際情勢、為替の影響などが複雑に絡み合う。2020年と比較してカカオ豆の価格は2.98倍、米の相対取引価格は1.56倍、食用油の価格は1.5倍となった。その他、2024年12月には世界大豆市場において大豆の不作傾向から総供給量が減ることが発表されている。

<出典:総務省統計局>

こうした原料高騰に加え、2024年問題とも言われる物流業界の規制もスタート。長時間労働が問題視されていたドライバー職に時間外労働規制が適用された。
また、南海トラフ地震注意の呼びかけから備蓄需要が高まり米騒動も起こった。更には、小林製薬の紅麹サプリメントの自主回収など、食への安全意識も高まった1年であった。様々な課題が噴出した1年であったと言える。その一方、節約志向から、ふりかけの出荷額が過去最高になったことや、健康志向からZ世代を中心にアサイーが再ブームとなるなど、新たな動きも見られた。

食品製造業界 M&Aの傾向

2024年の食品製造業界は、特に原料高騰の打撃を受けた。
特定の原料に依存している業態は、特にその影響を大きく受けることとなった。そのため、従来の自社の業種ではない新たな成長分野への投資が目立つM&Aが中心であったと言える。

例えば、キムチ等の製造を行う備後漬物は冷凍食品の製造を行う岡本食品を譲り受けることで冷凍食品事業への多角化を図った。また、茅乃舎だし等で有名な久原本家グループは、創業300年超の老舗蔵元の伊豆本店を譲り受け、酒造業に進出した。

江崎グリコは、素材がそのまま届く、たっぷり野菜のヘルシーおうちごはんを手掛けるベンチャー企業のGreenspoonを譲り受けし事業領域を拡大した。また、カレーメーカーであるハチ食品は、フリーズドライ製品を販売するMCエフディフーズを引き受けた。

このように事業ポートフォリオを拡大することで、原料高騰や時代のニーズの変化に対するリスク分散を行っているのが食品製造業におけるM&Aのトレンドと言える。また、これらのM&Aの多くが、同県など同じ商圏内で行われたことも特徴と言える。相互にサポートしやすい環境下でM&Aを行うこともリスク分散の一つだ。

食品製造業界の課題

原料の価格は天候や社会情勢に大きな影響を受けるため、製造メーカー側だけでのコントロールが難しいことが改めて浮き彫りとなった2024年であった。コストの上昇を吸収するためにも、生産ラインの効率化や、付加価値をつけた利益率の高い商品開発、あるいは事業の多角化によるリスク分散が求められている。

一方で、現状の製造ラインを変えることは容易ではなく、修繕費や機械の追加購入など投資も必要であることから、必要性を理解しながらも現状維持になっている企業も多い。

担当者からのコメント アイコンこの記事の執筆者

渡邉 智博

宮崎県出身。慶應義塾大学卒業後、新卒でリクルートに入社。ブライダル事業に9年間携わった後に、日本M&Aセンターに入社。一貫して食品業界のM&Aに従事し、2020年には同社で最も多くの食品製造業のM&Aを支援した。食品業界専門グループの責任者を務め、著書に「The Story〔食品業界編〕業界を勝ち抜くために知っておきたい秘密」がある。2024年スピカコンサルティングに参画。

担当者:渡邉 智博部署:食品業界支援部役職:執行役員