全体総括 2025年大予測〜業界の旬とパートナーの見極めが肝心〜
日本国内には出口政策が必要
米国には3,000社の100兆円規模のファンドがあり、スタートアップや上場企業のEXITを担っている。世界のPEファンドは現時点で約3万社(450兆円)に対して既に投資しているが、さらにPEファンドとVCを合わせて400兆円の待機資金があるとされる。こういった入口の投資だけでなく、出口の受け皿としてのPEファンドなどの役割は日本国内で益々高まってくるであろう。日本国内において出口における政策課題は非常に大きい。
2025年も事業承継
日本国内のM&Aにおいては、これから10年間M&A件数は大きな経済変化がなければ2035年の事業承継のピークを迎えるまで増加していくことが予測される。一方で、「M&Aの旬の時期」には注意が必要である。10年前には、スーパーやドラッグストアのM&Aは概ね完了し、「調剤薬局」のM&Aも想定通りピークアウトし株価もかなり減少が続いている。
事業承継というのは、オーナー経営者のタイミングでするという考えもあるが、本質的には会社のタイミング・世の中の動向を見て行わなければならない。会社をきちんとした形でM&Aできるというのは400万社のうち1年間で非公表のものを入れて8,000社と私は推定している。つまり、0.2%の奇跡である。タイミングを逸して売却できなくなるのであれば、もちろん業績が良いうちにM&Aを検討するべきであろう。
いまだにM&Aは業績が悪い場合に検討するものという勘違いがあるが、間違いなく好業績の時に取りうる選択肢である。

M&AブローカーとM&Aコンサルタント
日本国内にも、GENDA、GA technologies、クラウドワークス、BuySell TechnologiesなどM&A巧者が出てきた。
一方で、M&Aブローカーと呼ばれる企業が増加し、80名が最終契約が完了する前に顧客の署名をコピーするなどして偽造した契約書の写しを管理システムに登録していたという日本M&Aセンターの不正会計やM&A支援機関に登録されている15社(うち上場大手3社)に中小企業庁が注意勧告を行ったルシアン事件などは大手仲介会社も軒並み改善が必要な状況となっている。
M&Aブローカーは買いたいという会社を探してくるが、M&Aコンサルタントは譲渡オーナーにとって、そして社員の方、顧客にとって最適なお相手と正しい契約内容を進めていくことに最善を尽くす。私たちスピカコンサルティングは、M&Aブティック唯一のコンサルティング企業として襟を正し、ブローカー業を行わないことを宣言して2025年を迎えたい。
神奈川県出身。早稲田大学商学部を卒業後、中堅M&A仲介企業に入社し、業界再編戦略本部の営業企画業務を担当。 その後、株式会社リヴァンプにて、クライアントのマーケティング・経営企画業務支援に従事。 2024年1月より、スピカコンサルティングに参画。