調剤薬局業界2024年振り返り~オンライン化・IT化の流れがついに加速!再編も終盤戦に~
2024年の調剤薬局業界におけるホットトピック
2024年の調剤薬局業界は少子高齢化に伴う薬剤師不足や医薬品の供給難が加速する中、Amazon薬局の参入や大阪市内の調剤業務一部委託事業の開始、AI薬歴・調剤ロボットの拡充などオンライン化・IT化の進展も各所で見られ、中堅・中小企業は自社単独で時代の流れに付いていけるかが問われる1年となった。
結果として、過去M&Aを活用して成長してきた中堅もしくは大手企業が、さらなる安定・成長を求める形で大手・超大手グループと手を組む事例も多く発生した。2024年度調剤報酬改定は調剤基本料においては従来の基本料見直しに加え医療DX推進体制整備加算の新設、薬学管理料においては在宅業務・かかりつけ機能に代表される対人業務に係る評価の見直し・新設など、従来から政府が掲げてきた「オンライン化・IT化」「対物業務から対人業務への移行」に対する答え合わせのような改定内容となった。
医療DX推進体制整備加算に関しては、10月以降マイナ保険証の利用率が加わり、今後の動向に応じて加算を取得できるマイナ保険証の利用率が段階的に引き上げられていくことが予想される。
2024年の代表的なM&A事例と動向
①2024年1月 ファーマライズHD×GOODAID株式会社(東海道・31店舗)「単独上場を目指していた30代社長が自社の成長を加速させるためにM&Aを実施」
②2024年9月 スギHD×I&H株式会社(全国・200店舗超)「買収巧者の調剤薬局業界大手がドラッグストア業界大手にグループ入りを決断」
③2024年12月 ファーマライズHD×寛一商店グループ(全国・54店舗)「会社更生法申立を申請したグループを事業譲受、同社は年内2件目の大型買収」
④2024年12月 総合メディカル株式会社×株式会社ライフアート(広島・62店舗)「モール開発の得意な優良企業が譲渡、総合メディカル社は店舗数で業界3位に」
ドラッグストア業界は2021年に発表されたマツキヨHD(当時売上高5位)・ココカラファイン(当時売上高7位)の経営統合、2024年に発表されたウエルシアHD(当時売上高1位)・ツルハHD(当時売上高2位)の2027年末の経営統合に向けた準備開始に代表されるように上位10社同士の統合が相次いだ。
上位10社同士の統合は業界再編の最終盤局面を意味するが、調剤薬局業界においても中堅企業の譲渡がハイペースで発生し業界再編の終盤戦が始まったと言える。例えば上述の株式会社ライフアートが本社を置く広島県では、2021年に株式会社地域ヘルスケア連携基盤(CHCP)×株式会社リライアンス(広島県を中心に当時38店舗)、2022年にアインHD×ファーマシィHD(広島県を中心に当時約100店舗)の経営統合が起こっており、直近4年間で県内店舗数の上位3社が全てM&Aを活用し大手グループ入りをする形となり、県内の再編は概ね完了したとも言える。

図は調剤薬局大手5社が直近M&Aで譲受した店舗数を示したものであるが、バラツキはあるものの各社2~3年に一度のペースで大型案件の譲受を行っており、業界再編の終盤戦に突入する今後は大手企業が少数店舗(1∼5店舗)の薬局を譲受する件数は減少していくものと考えられる。
京都府出身。5歳より始めたフィギュアスケートで7度の全日本選手権出場、2度のインカレ団体優勝の経験がある。関西大学経済学部卒業後、2021年に新卒で日本M&Aセンターに入社し、一貫して調剤薬局業界のM&A業務に取り組む。2024年スピカコンサルティングに参画。